不動産投資関連でよく耳にする「利回り」と言う言葉。
この計算方法を知ることで、具体的な数値が分かり不動産投資で失敗するというリスクを大幅に下げることができます。
ここでは正しい利回りの計算方法を解説していきたいと思います。
表面利回りと実質利回り、返済後利回りとは
利回り計算には、大別して精度の違う3種類の計算式がありますので、ここからはそれらを順に開設していきたいと思います。
とても重要な計算方法なので、ぜひ覚えておいてください。
表面利回りの計算方法
まず最も基本となる表面利回りの求め方ですが、それは「月額家賃収入×12÷物件価格×100」という式で計算することができます。
例えば、物件価格800万円、年間の家賃収入は6万円×12ヶ月として72万円の物件があるとします。
この例で利回りを計算してみると、
「72(家賃収入)÷800(物件価格)×100」で、答えは9。
つまり、利回りは「9%」となります。
平均的な相場として3%から3.5%が良いとされているので、この9%という数値だけで見るとかなりの優良物件と言えますが、しかしこの数値は、常に満室状態で、修繕費用や固定資産税も考慮していない、現実に即していない数値で、これを表面利回りと言います。
実質利回りの計算方法
上記で計算した表面利回りに、手数料などの様々なコストを引いた額を「実質利回り」と呼び、具体的には、
「各種コストを引いた家賃収入÷物件価格×100」、
の計算式で求めることができる数値となります。
先ほど表面利回りを求めた物件に、一部屋に必要となる月々の修繕積立金(1.5万円)と、管理費(1万円)を入れて計算し、実質利回りを求めてみましょう。
家賃収入は6万円ですが、修繕積立金(1.5万円)と、管理費(1万円)が引かれることとなりますので、実質的な収入は3.5万円となり、それが12部屋ありますので42万円になります。
つまり
「42(家賃収入)÷800(物件価格)×100」で、答えは5.25。
実質利回りは5.25%ということになります。
返済後利回りの計算方法
そして、さらに重要となる利回りの計算方法が「返済後利回り」です。
この返済後利回りというのは、不動産経営で支出の大部分を占める「物件のローン返済額」を考慮した利回り計算方法となります。
この数値が最も現実に即した結果となっています。
先ほどと同様に、ある物件を想定して計算していきたいと思います。
- 物件価格:4,000万円
- 仲介手数料、諸費用:280万円
- 返済期間:25年
- 金利:2.5%
- 満室時の一月の家賃収入:32万円
- 月額のローン返済額:19.2万円
- 固定資産税、管理費、積立金などのコスト:4.8万円
この条件を元に、表面利回りとローン返済後の利回りを計算して比較してみると、
物件購入価格に諸費用を足して4,280万円、家賃は32万円なので、
「32×12(年間家賃収入)÷4280(物件価格)×100」で、表面利回りは8.97%となります。
次に返済後の利回りですが、一月の家賃収入(32万円)から、毎月のローン返済額(19.2万円)を引いて、さらに固定資産税や管理費、積立金などのコストである4.8万円を引くことで、手残り金は8万円となります。
これを元に再計算すると、
「8×12(家賃収入からローンなどを引いた年間の手残り金)÷4280(物件価格)×100」で、返済後利回りは2.24%となります。
この2.24%という数値は、表面利回りから考えたら少ないように感じますが、返済後利回りは2%以上が望ましいとされていますので、物件的には大外れではないと言えます。
しかしこの計算式では常時満室を想定しており、計算することが非常に難しい空室リスクには対応できていないため、実際の利回りはさらに下がることを想定しなければなりません。
ですので、平均的な空室率5%を加味して、さらに再び計算をしていきたいと思います。
空室リスクを考慮することが重要
上記の想定した物件を元にして、空室リスクを平均的な5%として考えた場合、「1.6万円」となりまので、先ほどと同様に家賃収入からローン返済額と税金などのコストを差し引いた結果である8万円から、さらに1.6万円を引くと最終的な手残り金は6.4万円ということになります。
その数値を元に、空室リスクを考えた返済後利回りの計算式は、
「6.4×12(年間手残り金)÷4280(物件価格)×100」で、1.79%となり、その結果2%を割ってしまいあまり良い物件ではないという結果になりました。
上記したとおり、空室リスクは数値化するのがとても難しい問題です。
物件購入を決めたら、周辺環境にある同じようなタイプの物件の空室率を調べて、そこから類推することが重要なポイントとなります。