多くの銀行が様々な不動産投資向けの金融商品を用意しています。ここでは、それら様々な銀行の中から、不動産投資向けにの選ぶポイントと、実際に融資を受けた際に金利を引き下げるための交渉方法を解説していきます。
不動産投資向けの融資を案内している金融機関は様々ですが、不動産投資家に最も利用されている銀行は静岡に本社を置くスルガ銀行です。
こちらの銀行は、2018年2月13日に朝日新聞が一面で報じた「かぼちゃの馬車事件」により印象を落としてしまいましたが、それでもやはり、融資の積極性の高さや、認可スピードの速さ、また長期間に渡って融資してもらえるという大きなメリットには変えられません。
(*関連リンク>>かぼちゃの馬車事件とは?概要とスルガ銀行の責任)
一方、デメリットとなるのが、他の金融機関に比べて金利の割合が3〜4%と高めに設定されている事なのですが、実はそれは大きなデメリットとはなりません。
以下にその理由を解説していきたいと思います。
金利より、返済期間を優先
不動産投資をする上で優先すべきは、金利の割合より返済期間の長さです。
返済期間の長さを優先すれば、当然支払う合計金額は多くなってしまいますが、それよりも長期間にわたって支払う方がリスクを抑えることができます。
というのも、支払い期間が短くなれば毎月の支出が大幅に増えてしまうため、毎月手元に残るキャッシュフローが悪くなってしまい、空室が出た場合や、管理する上で想定外に必要となる支出に対応できなくなりリスクを高めてしまうからです。
実際に、「金利1.5% 返済期間15年」「金利4% 返済期間30年」と、金利と返済期間それぞれを優先した場合の結果を具体的な数値を見てみるとわかりやすいと思います。
物件の条件はこちらです
不動産の条件 | |
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金利1.5% 返済期間15年 | 金利4% 返済期間30年 |
月平均返済額 278,281円 | 月平均返済額 200,208円 |
手残り金 41,719円 | 手残り金 119,792円 |
返済期間を優先することで、上記のように毎月の手残り金に大きな違いが現れます。
これで良いキャッシュフローを確保できるので、万一の事故などの不測の事態に対応することが可能となります。
黒字経営3年で金利引き下げ交渉ができる
返済期間を長めに設定することで、当然返済総額は高くなりますが、不動産投資を開始してから黒字経営を3年続ける事が出来ればその時点でその投資は事業として認められるので、そこから銀行に対して金利引き下げ交渉を行うことが出来るようになります。
しかし、銀行にとって金利は利益を出すための生命線ですので、「金利を下げてください。」「了解しました。」と簡単にはもちろんいきません。
金利の引き下げを実現するには、交渉の条件となる様々な好材料が必要となります。
ここでは、以下にそのポイントを解説していきたいと思います。
これまでに返済の遅延がないこと
銀行は「優良顧客」を一人でも多く捕まえたいと思っています。つまりクレジットカードの新規入会と同様に、過去の履歴で支払いの遅れなどがあると、不良顧客との印象が強くなり入会審査ではねられてカードを所持することはできません。
金利引き下げ交渉も同様に、リスクの高い不良顧客に対しては、金利引き下げ交渉に応じて、金利を下げるのは途端に難しくなります。
そのためには、立地や物件から適切な家賃設定をして、支払いが滞ることがない隙のない経営をしなくてはなりません。
黒字経営である
上記の返済の遅延がないことと同義ですが、現在まで常に黒字経営となっており、今後も安定して支払いができる目処が立つことも重要なポイントの一つとなります。
また、例え黒字経営だったとしても、長期間に渡って空室状態が続くなどがあればそれも不安材料の一つとなります。
適切な家賃設定で、空室を作らず安定した経営をしていくことが重要なポイントとなります。
担当者の成績が上がる条件を交渉材料にする
金利引き下げ交渉を行うのは、不動産オーナーであるあなたに他なりませんが、交渉相手となる担当者も、債務者からの提案を材料にして、さらに上に交渉する交渉者となります。
そのため、その担当者が金利引き下げを実現したいと思うような交渉材料をこちらが用意することが重要となります。
例えば、金利引き下げに応じれば、「定期預金や積立定期の開設、また定期積金の増額」や「クレジットカードやカードローン入会」「国債や投資信託の購入」、また「他行の口座の預金や貯金をその銀行にまとめるという約束をする」などを取引の条件にすれば、その担当者にとって金利引き下げを実現する大きな理由となります。
金利引き下げを実現するための交渉材料 |
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金利引き下げ交渉をするにあたって、重要となるのがこれまでの実績と具体性です。
引き下げに応じない場合は、銀行にとってどのようなデメリットとなるのか、また応じればどういったメリットがあるのか、それらをしっかりと説明できるようにしておくことがポイントとなります。
このように様々な点から見てみると、融資を受ける際は金利の割合より返済期間の長さを優先させる方がメリットが多いと言えます。